江戸後期からの歴史と職人技術の継承
京生麩 志場商店は、江戸時代後期から続く老舗として、4代目にわたり京生麩作りの伝統を守り続けています。創業当初から京都・壬生の地で丁寧な手仕事を貫き、現代に至るまで変わらぬ製法で生麩を製造しています。熟練した職人たちの長年の経験と技術により、原材料の受け入れ検査から木型での成型、蒸し工程まで、全て手作業で行われる厳格な品質管理が特徴です。
同社の生麩は、小麦たんぱく(グルテン)と餅粉を主原料とし、その日の生地の硬さに応じて茹で時間を調整するなど、職人の経験値に基づいた細やかな工程管理により製造されています。原材料の混合から計量、カット、適度な長さへの伸ばし、湯がき、木型への成型、蒸し、冷却、検品、包装に至るまで、一貫した製造工程を経て高品質な生麩を提供しています。
豊富な商品ラインナップと新商品開発
京生麩 志場商店では、よもぎ麩やあわ麩といった定番商品から、七味麩、からし麩、くり麩などの新商品まで、多様な種類の生麩を展開しています。関わりのある京都の料理人からの要望に応える形で新たなラインナップが増え、現在では他には無いオリジナリティ溢れる商品を数多く取り揃えています。生麩まんじゅうにおいては、よもぎ、黒ごま、南瓜、抹茶、ほうじ茶、桜紅、柚子の7種類を展開し、色とりどりの生地と餡を使った伝統的な商品を提供しています。
同社の商品は、生麩の特徴的なモチモチとみずみずしくツルっとした食感を活かし、普通のおまんじゅうでは味わえない独特の食感を実現しています。棒麩や花麩も各種サイズで販売し、進物用の化粧箱も用意するなど、贈り物や自分のご褒美としても選ばれる商品づくりに注力しています。
生麩料理専門店の展開と新たな挑戦
京生麩 志場商店は、4年前に生麩料理専門店「shibaF」(シバフ)を立ち上げ、生麩をより身近で馴染みのある食材にするための新たな取り組みを開始しました。この専門店では、生麩の可能性を探求した料理やデザートを提供し、従来の生麩の概念を超えた新しい食体験を創造しています。京都の食文化の奥行きを映す豊富な種類の生麩は、多数の熟練した職人が揃う京生麩 志場商店ならではの持ち味となっています。
同店の生麩は、京色Fuji屋での車海老と賀茂茄子と生麩の揚げ出し、叶夢での生麩の餡かけ焼きそばや生麩の抹茶アイスパフェなど、京都の料理店でも幅広く活用されています。また、京の宿綿善旅館での生麩づくり体験や天麩羅ナイトへの参加など、体験型の食文化普及活動も積極的に行っています。
健康志向に応える伝統食材の価値提案
京生麩 志場商店の生麩は、室町時代に中国から伝わった歴史ある食材として、肉食を禁じられていた僧侶たちの貴重なタンパク源として扱われていた背景を持っています。現代においても、低カロリーで消化吸収が良い健康食品として注目されており、栄養価が高くダイエットにも最適な植物性タンパク質を提供しています。京都の清らかな軟水が豊富な環境で育まれた生麩は、その上品な旨味と風味が口の中に残る特徴があります。
同社では、オンラインショップ「志屋」を通じて全国への販売も行っており、手作りならではの穴あきや空気の入った訳あり商品も初回限定で提供するなど、多くの人に生麩を試してもらう機会を創出しています。厳選したグルテンやもち米などの原材料にこだわり、奥行きのある味わいともっちりとしたコシのある食感を楽しめる商品として、伝統食材の新たな価値を提案しています。


